2015年7月31日、8月3日付 日本経済産業新聞 『中小企業の海外展開のツボ』に掲載されました。
(全文は以下の通りです)
はじめての海外販路開拓を効率的に行う方法として、海外展示会の活用があります。初回出展から、良いパートナーを見つける、成約につなげる、等の成果を挙げる、ちょっとしたコツがあります。
1 準備
展示会終了後は海外からの引き合いが増えます。
英語での対応に加え、見積書作成、国際輸送手配、代金回収、現地輸入規制準拠、知的財産管理など、社内の輸出環境を整備しておきます。
2 心構え
「一度出展してみて様子を見る」と「今回が最初で最後の出展」。成功率が高いのは圧倒的に後者です。
海外の展示会は、情報収集より商談の場との位置付けが高い為、海外取引への覚悟が未熟なまま出展してしまうと、本気度が低いと思われ良い引き合いは得られません。
商談では想定外の質問も多く、渡航前の入念なロールプレイング練習は欠かせません。バイヤーの属性に合わせてどの切り口でどのトークを展開すべきかアイデアを十分膨らませておくことが重要です。
3 魅せ方
バイヤーがブースを横切るまでおよそ3秒と言われています。その間にいかに判りやすく「バイヤーズメリット(購入すべき理由)」を伝えられるかが勝負です。
どれだけ商品が高品質、高機能、安心、安全、便利か?ではなく、どれだけバイヤーがそれに購入メリットを見出すか?です。
バイヤーと多く会話を交わすことでヒントは得られます。
- 流通しづらい
- 用途が当地には未だ無い
- 市場開拓が高コスト
- 高額な割に競合優位性が低い
これら海外新市場特有の障壁を突破すべく我々も一緒に汗をかきますというパッションも一緒に魅せます。
4 異文化適応
リラックス、フレンドリー、スマイル、で和気あいあいの展示会場ですが人との距離には注意します。
- 挨拶を無視して先に商品に触る
- すれ違い様よけてくれても無言
- 順番を待たずにまだ目が合っていないスタッフに質問する
いずれもご自分で思うより不作法です。
5 情報のとりかた
会期中は競合先も忘れず視察。ライバルですがニコやかに情報交換できる場合や、その逆もあり、反応すべてが貴重な情報です。
一方海外バイヤーから英語で大げさに褒められるとつい思考停止にもなりがち。
「(笑顔で)それでも今は買わないのですよね?その買わない理由を知りたいです♡」と
愚直に、引かずに、丁寧にヒアリングを続けると「次」の登るべき山が見えてきます。
6 集中力
一度に3組4組と同時対応が必要な場面があります。慌てず笑顔でHi, Helloとお声掛けし、千手観音のように右手左手を総動員。
カタログをお渡しし全員に視線を送りながら説明開始。海外の方は四方八方から嬉々として質問なさいますのでこちらもウィンクとジェスチャ-で1つも逃さず全回答です。
サンプル実演、iPad映像を流しながら、「買いたい」、「興味が無い」、そして「この理由で買わない」の確認まで、気を抜かずに接客します。
7 気力体力
夜更かし観光は最終日までお預けです。会期中は気力体力すべてを「ブース接客」に注ぎたいところ。
帰国後具体的な引き合いを得られず、改善点も分からないと苦しまない様、接客中は常にアンテナを張り、気力体力総動員で案件の種をまき、芽が出る仕掛けを施します。
ホテルに戻り今日の反省と明日の作戦を練るひと時は、振り返りと体力回復に必要な時間です。